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〜気まぐれアートレポート〜初めての瀬戸芸を1日で味わい尽くす!豊島―宇野 よくばりアート旅〔前編〕

 

 

宇野港から豊島へ。アートと自然を満喫した夏の1日

以前、このコラムでも紹介した瀬戸内国際芸術祭2022。3年に一度、瀬戸内の島々を中心に、国内外のアーティストによる現代アート作品が楽しめる芸術祭です。いよいよ9月29日からは秋会期がスタートします(11月6日まで)。

今回は夏会期終盤の8月末に訪れた豊島(てしま)でのアート旅の様子をレポートします。出発2日前に思い立ち、短時間でプランを立てたために現地でのハプニング&トラブルが続出。それでも充足感たっぷりの旅が楽しめました。初めての瀬戸芸体験をありのままにお届けします。

 

 

2日前。効率よくまわるため、島での移動プランを綿密に計画

 

▲プランニングに欠かせない公式ガイドブック。公式アプリよりもプランを立てやすかった

 

 

日曜〜月曜の2日間、私用で岡山を訪れる予定が急遽変更となり、月曜がぽっかり空くことに。ならばと瀬戸芸行きを思いつき、公式ガイドブック、公式アプリとにらめっこしたのが土曜日。当初、宇野港から直島行きを検討するも、月曜休館が多いために行き先を豊島に決定しました。(実はコロナで直島行きの船が運休しており、いずれにせよ直島には行けなかったことが当日発覚します)

プランを立てるのに1番に調べたのは、帰りの船の時間。これを逃して島に取り残されたら大変です。最終便の時間を確認後、プラン構成の手順はこんな感じで行いました。

 

絶対に見たい作品を選ぶ

作品はエリアごとに点在しています。全部見られない可能性も考慮して、優先順位をつけていきました。豊島美術館と今年の新作はマストで見たい候補としました。

 

バスの時刻表を見ながらまわる順序を検討

島内の移動は「豊島シャトルバス」か「レンタサイクル(電動アシスト付き)」がメイン。猛暑の中での自転車移動は避けたかったのでバス移動に決めたものの、運行本数が少なくいまいち効率よく動けない感じ。鑑賞時間の見当もつかないので、場合によってレンタサイクル利用も視野に入れつつ、組んだプランがこちら。 ※注意:このプランは現地で総崩れします(笑)。あくまで移動のイメージとして参考にしてください

 

宇野港 8:40発
 ↓
家浦港 9:05着
 ↓
家浦港バス停 9:07発 豊島シャトルバスで甲生へ 
(※もしくはレンタサイクルの方がいいかも)
 ↓
甲生集会所バス停 9:10着
◦ 海を夢見る人々の場所
◦ 影たちのみる夢
甲生集会所バス停 10:50発
 ↓
家浦港バス停 10:58着
唐櫃行きバス 10:05/11:50)
 ↓
清水前バス停
(※豊嶋美術館到着メドが付いたらWEB予約する。入館30分前までに)
◦ 空の粒子 ◦ あなたの最初の色
◦ 「島キッチン」で昼食 ◦ 西本喜美子写真展
唐櫃岡集会所前バス停 なりゆき(もしくは徒歩約10分)
 ↓
豊島美術館前バス停
◦ 豊島美術館
豊島美術館前バス停 15:36発(家浦行き)
 ↓
家浦港バス停 15:50着
◦ 「いちご家」でスイーツ(営:12:00〜17:00)
家浦港 16:25発〜宇野港16:50着
(※最終便18:40発〜宇野港19:19着)
宇野港エリア
◦ 時間屋(営:10:00-19:00)

▲我ながら細かすぎて、プランができた時点で心が折れそうでした

 

 

前日。いよいよ宇野入り。おしゃれホテルでアート気分を上げる

 

▲スタイリッシュなフロント/スタジアムビューのゲストルーム/朝食は卵かけごはんかフレンチトーストの2択

 

前日夜にできるだけ港に近い宿を探して予約していたのが、3月にオープンしたばかりの「KEIRIN HOTEL 10」。玉野競輪場に建つ日本初のスタジアム一体型ホテルだそう。到着したホテルは競輪をモチーフにしたインテリアがおしゃれで、アート気分が高まります。朝起きて部屋のカーテンを開けると競輪場が目の前に! 館内レストランで朝食を済ませ、車で5分の宇野港へ移動しました。

 

 

当日。出だしからつまづき、島到着直後にプラン崩壊。臨機応変の対応で乗り切る

宇野港に車を停め(ほとんどの駐車場が1日500円)、フェリー乗り場に向かうも、お目当ての豊島・小豆島行きの旅客船乗り場は別の場所だと案内され、徒歩で移動することに。出だしからリサーチ不足が露呈する。

 

▲乗り場到着!(左)と思いきや、乗船予定の旅客船の乗り場(中)は100mほど離れた場所だった。月曜といえども船内は乗客でいっぱい

 

予定通り、8:40発の旅客船に乗り込み、いざ豊島・家浦港へ。隣り合わせた人に島内移動はどうするかを尋ねたところ、彼女はレンタルバイクを借りるとのこと。移動のむずかしさで意気投合し「案内もわかりづらく、瀬戸芸は侮れない」との話に、そう感じているのは自分だけじゃないんだとホッとする。
ふと、宇野港でパスポートを購入し忘れていたことに気づき焦る(間違えた方のフェリー乗り場で買わないといけなかった!)。仕方なく瀬戸芸デジパスアプリにアクセスするも、1デイチケットは紙チケットのみの発行だそう。でも島でも買えるみたいなのでひと安心。
爽快に走る船の中、ひとり密かにホッとしたりハラハラしたりしているうちに港に到着。早速優しそうなスタッフを捕まえて尋ねると、デイチケットは家浦地区では「豊島横尾館」と「針工場」でしか買えないとのこと。早速計画したプランにない場所に行かなければならなくなり、この時点でバス移動を断念します。
レンタサイクルでの移動に切り替え、港で電動アシスト付き自転車を借り(4時間1,000円/1時間追加ごとにプラス100円)、まずはとにかく「豊島横尾館」に向かいます。

 

▲港で入手した豊島ガイドブックが終始役に立つことに/道中にはオリーブ畑/突き当たりに見えるのが「豊島横尾館」/おしゃれな表札のお宅を発見

 

「豊島横尾館」に到着するも、ここで再びハプニング。なんと10:00オープン。開館まで1時間近くもあり、途方に暮れる観光客多数。この旅は「リサーチと臨機応変の対応力が鍵」だと悟り、慌てずにルートを変更。先に甲生(こう)地区に向かうことにしました。
電動自転車のアシスト感にも慣れ、3段ギアを使いこなしながらのどかな山道を快調に走ります。その途中、「自転車で移動が自由になったから、先に豊島美術館の入館予約を入れてしまえ」と携帯から13:45のWEB予約をします(この時、落ち着いた場所で手続きをしなかったことをのちに悔やむことになります)。

 

▲田んぼの先に広がる海!まだまだ暑さもキツくなく爽快/時間を忘れて海をながめたくなる「海を夢見る人々の場所」

 

9:40に最初の作品「海を夢見る人々の場所」に到着。みんな遠慮がちで座らずに眺めていたけど、思い切って近くにいた人に頼み記念写真をパチリ。のどかな海と島々の風景&作品を、みんな静かに眺めていたのが印象的でした。

そのそばには「種は船 TARA JAMBIO アートプロジェクト」の展示も(秋会期は粟島で実施)。船で向かいの男木島に渡り、海洋漂流物を収集して持ち帰るというプロジェクトなのだそう。 「“海ゴミ”と言われるものも“誰かの思い出の一部が流れ着いたもの”として収集して物語を想像するだけで、それはゴミではなくなる 」という船長の話にちょっと感動。ビーチクリーンではなく、ビーチコーミングという考え方だと教えてもらった。ぜひ乗船してみたかったけど、所要時間1時間と聞いてあえなく断念。この体験のために時間の余裕を持ってくるだけの価値がありそうです。

 

▲朝顔の種をモチーフにした「TANe FUNe」/収集物を展示する船長小屋。船長に会えたらラッキー/誰でも参加できる想像ノート

 

甲生地区のもうひとつの作品「かげたちのみる夢(Remains of Shadowings)」は、パスポート未購入のため現金で入場。誰かの暮らしの痕跡と、見るからに廃屋な現実とを組み合わせた作品はちょっと異様な雰囲気。むしろお化け屋敷的なドキドキ感の方が勝った感じ。アートってむずかしい。

 

▲道に迷っていたらアートな塀に出会う/入り口からちょっと不気味な「かげたちのみる夢」/ひとりで進むにはなかなかの勇気がいる

 

 

家浦地区に戻り、無事1デイチケットをゲット

家浦地区に戻り「針工場」で1デイチケットを購入し、ひと安心したところで作品を鑑賞。昭和の終わりまで稼働していた針工場に置かれているのは、宇和島の造船所で放置されていた船、ではなく船形だそう。まったく違う場所で別々の役割を果たしていたものが、この場所でぴったりと収まるという不思議。アートとは「運命的な出会い」でもあるのかも。

 

▲お得なデイチケット。2デイもあります/「針工場」ではアイスやグッズ販売も

 

続いて「豊島横尾館」へ。色ガラスを使った展示や鯉の泳ぐカラフルな庭など、視覚効果にドキドキさせられる横尾忠則ワールド。目が眩むような滝のインスタレーションは撮影NGだったので、その衝撃はぜひ現地で味わってほしい。

 

▲豊島横尾館。全面鏡ばりのトイレは、想像通りどうにも落ち着きませんでした

 

次のエリアに移動する前に「いちご家」のかき氷でブレイク。ここからアート作品満載の唐櫃地区へと約4kmの移動します。

 

ハプニング続出の旅の続きは後編へ続きます。

 

 

●瀬戸内国際芸術祭2022
秋会期:9月29日(木)〜11月 6日(日)
オフィシャルサイト:https://setouchi-artfest.jp/

(ライター:岩井紀子)

 

記事公開:2022年9月22日

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